R55女性あるある

R55世代(50~60代)女性の、心身や環境の変化・長年の仕事での経験・主婦目線での生活など綴るブログ

喫煙室・飲み屋・ゴルフ場でのコミュニケーションが日本企業の構造だった気がする

私が入社した時代はまだ、男性社員の大部分が喫煙者でした。

オフィス内の自席で皆がタバコをふかしながら仕事をするので、特に全員着席している朝など煙で部屋中が灰色なのです。ロッカーやキャビネットもたまに拭くと雑巾がまっ黄色になってギョッとしたものです。

大げさでも何でもありません、本当にそうだったんですよ。

その後嫌煙の機運は高まっていき、喫煙できる場所も徐々に減ってはいきましたが、それでも2010年頃はまだ社内に喫煙室が設けられていました。(現在は社内では一切吸えなくなっています)

当時私の所属していた部門では管理職の8割が喫煙者でした。彼らは業務時間中も頻繁に喫煙室でたむろっていました。

多少の後ろめたさがあったからかはわかりませんが、言い分はこうでした。「喫煙室でたまたま一緒になった人たちから有効な情報が得られるから有意義なのだ」と。

大企業のため同じフロアでも一緒に仕事をしたことのない人や、顔を知らない人も大勢います。でも喫煙室で違う部門の人と顔見知りになって話をすると、意図せず業務上役立つ情報を得られたりする、というのです。

これを一般的に「タバコ部屋の理論」と呼びます。

確かにそういう側面があるかもしれません。本当に業務上有効かはさておき、喫煙室という空間がいわゆる井戸端会議的なコミュニケーションの場としてひと役買っていたことは事実でしょう。

でもそれが本当なら、喫煙者だけがその"コミュニケーションの場"と"業務をしない時間"を享受できるというのはどうしたっておかしいと、タバコを吸わない私はいつも思っていたものです。だったら非喫煙者も堂々と、コーヒーを飲みながら休憩できるスペースがあるべきではないかと。(そんな場はまだありませんでした)

当時の部長(ヘビースモーカー)の話では、喫煙室では普段気軽に会えないお偉方とも仲良くなれ、すると貴重な情報を知り得たり、その空間で何やら政治的なことも決まったりもしていたそうです。

もしそこで人事が決まったり、貴重な情報共有がされていたのであれば、それこそ非喫煙者は不利で不公平だったということになります。「じゃあお前もタバコ吸えばいいだろう」というのは暴論というものでしょう。

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長いこと、多くの日本企業の構造はこれだったような気がします。喫煙室だけでなく、毎晩の一杯休日のゴルフ懇親旅行…。

業務でよほど大きな目に見える成果でも上げない限り、そういう場でのコミュニケーションが評価に有利に働く。実際、人脈も広がり仕事もしやすくなるでしょう。でも…本来の"仕事場"以外ばかりじゃないですか。

もちろんコミュニケーションは重要です。普段からよく話していれば、上の人間にとっても相手の仕事の内容や日頃の苦労や努力を知ることができるし情もわく。そういう相手には重要な業務も任せやすくなる。

あまり接触のない部下のよくわからない業務と比べれば、どうしたって懇意な部下を重用しがちです。これは男女関係なく、人間にはそういう面があるものでしょう。営業職のようにはっきり数字が出るならともかく、そうでない職種は評価が難しい側面があるのでなおさらです。

飲み屋やゴルフ場などでのコミュニケーションを否定するものではないけれど、それを普通の業務上でも頻繁にとればいいのに、なぜかそれはできていない。そこが一番の問題なのです。

非喫煙者や、ゴルフをしない人や、飲めない人や、家事や育児や介護でそんなつきあいができない人が、業務ではなくそういう場でのコミュニケーションがとれないことで疎外感を感じたり不利になるのは、やはり違うと思うんですよね。

大企業で女性管理職はその頃まだ1割以下、そういう人間はマイノリティで、会社に悪気はなくてもそんな考え方はなかなかできなかったのだと思います。

時が過ぎ、タバコ部屋は撤去され、喫煙者も減り、今は昔です。

そしてコロナ。この3年間、企業でも飲み会やゴルフコンペや大勢での会食もできなくなりました。そういう場がなくなった今、「タバコ部屋の理論」は企業の中のどこで働いているのでしょうか?

社内SNS?Zoom飲み会?・・・どなたか教えてください。