山下智久主演でドラマ化もされた「アルジャーノンに花束を」
先日『「ミステリと言う勿れ」と「水曜日が消えた」』で多重人格について書いた際、「24人のビリー・ミリガン」の著者 ダニエル・キイスの名を出した。
ダニエル・キイスはこれも有名だけれど、彼の代表作といえばやはり「アルジャーノンに花束を」でしょう。
これも昔、ビリーミリガンと同じく夢中で読んだものです。
主人公は32歳の男性。知的障害で6才児程度の知能しかない。ある時彼は臨床試験の脳手術を行ない、IQ180以上の天才的頭脳の持ち主になって人生が激変するのだけれど…。
ちなみにアルジャーノンというのはハツカネズミの名前で、この脳手術の実験で天才ネズミになった。
「アルジャーノンに花束を」は日本でも2度ドラマ化されたけれど、2015年の山下智久さん(山P)主演のドラマを当時楽しみに観ていた。
脇は栗山千明さん、窪田正孝さん、工藤阿須加さんなどの俳優陣で固めていて、
山Pが「ぼくはおりこうになりますか」みたいに、人なつこい可愛い笑顔でたどたどしく話す知的障害者姿と、天才になって英語ペラペラ、ビシッとクールにスーツ姿で医療の学会で発表。みたいなギャップの演技はなかなか。原作とは多少違うけれど結構楽しめた。
周囲の子たちにいじめられたり、母親にうとまれていても、知的障害の彼にはそれがわからず(理解できず)それなりに楽しく過ごしている毎日と、天才的な能力を手に入れたものの、初めて"孤独や寂しさ"というもの知り、"失う恐怖"にあせりや怯えを感じる日々。
人は生きる上で何が大切で何が幸せなのか、といった示唆も感じる小説です。