R55女性あるある

R55世代(50~60代)女性の、心身や環境の変化・長年の仕事での経験・主婦目線での生活など綴るブログ

新卒採用面接の審査で、優秀な学生に思ったこと

今週のお題「試験の思い出」

自分の試験ではなく、会社の新卒採用面接試験の審査員をした時のことを思い出す。

その年の新卒採用応募数は数千人だった。書類審査および一次試験にパスした中から、最終の役員面接に残る数十人にまで絞る面接試験を担当した。

こんなに大勢受ける段階での面接試験は人事担当者が行うわけではない。それではとても間に合わないからだ。

それで、社内の様々な部署から選出された部長~課長クラスの人間が何組かペアを組み、手分けして数百人の学生を面接した。

私は人事部ではないし採用のプロでもない。「自分の選択によってこの人達の人生を左右するかもしれないのだ」と思うと正直怖かった。だから1人に接する時間は短かったけれど、心から真剣に向き合った。

丸一日かけて50名近い学生に対し行った面接が終わった時にはもう、心底ぐったりとなったことを覚えている。

この中にはいわゆる新卒だけでなく、第二新卒の20代後半の人や外国籍の人もいる激戦で、私の入社した時代とはずいぶん違う厳しい状況に同情したくなった。

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履歴書上、超ハイスペックで「なぜうちを受ける?」と思うような人もいた。面談中に聴く話も「一体どれだけ優秀でしっかりしてるんだ」と舌を巻くものばかり。

こんなにちゃんと物事を考えずぼーっとしていた自分の学生時代を思い出して、内心恥じ入りながら聴いていた。

ただ、「大学のゼミやサークルで皆をまとめて功績を上げた。リーディング力には自信がある」とか「お金を貯めて海外に行き様々な経験を積んだので入社後もグローバルで活躍したい」とか、そういう話がとても多かった。

もちろん疑ってはいない。実際に皆そういう優れた能力や実績を持っているのだろう。でもふと思った。

会社は皆がリーダーだと組織として回らない。リーディング力は重要だけど、入社後何年かはむしろ"まとめられる側"になる方が現実として多い。それも私のような"ハイスペックには程遠い上司"に指示されるかもしれない。それにうちは海外で業務できる社員はごく少数…。もし入社したとして、大丈夫?

ここでの面接官は私たち現場の管理職。役員や人事部よりも、ある意味もっとリアル(現実的)な目で見ている。

面接官の責務として「会社として必要な人材かどうか」はもちろんきちんと判断する。けれど同時に「この人が自部門に入ってきたら」という具体的な業務シーンもイメージしないではいられないのだ。

「最後に、何かお聞きになりたいことありますか?」という質問を皆にした。

自分を語る練習は十分してきているだろうし結構似通った話も多かったけれど、この質問の回答はみごとに様々だった。この回答は、相手のどこをどれだけ見ているか、その中でどこに興味を持ったのか結構表れるので興味深かった。

審査では様々な側面で点数をつけていくのだが、私のリストで一番点が高かったのは新卒の女性だった。

数年後のある日。

営業部の壁に貼ってあった営業成績表が目にとまった。そのトップセールスの名に何か見覚えが。「あれ、これ…誰だっけ?」

しばらくして、それはあの面接で一番高い点をつけた女性だったことを思い出した。

「ああ!彼女はあの後の役員面接もパスして入社し、今こんなに活躍しているんだな」と、あの時の自分のジャッジにほっとする思いだった。